九段 ゑん重 (えんじゅう) |東京都千代田区(最寄り駅JR中央線「市ケ谷」駅)

市ヶ谷には「市ヶ谷記念館」があるが、三島由紀夫が自害した跡地として今も残っている。遠藤賢司の「カレーライス」という曲がそのシーンを歌っているのだとか。ちなみに三島由紀夫は作家のイメージが強いが官僚としてのキャリアもある。二足のわらじで、官僚でありながら作家としての活動もしていたのだ。
意図せず、市ヶ谷はカレーと縁が深い土地柄なのだが、そんな市ヶ谷に今日は来ている。
時間も時間だし、ランチに「カレー」を食べに行くか。以前入ったことがある蕎麦屋に確かカレーがあったよな。と思い出し、向かう。
場所は東京家政学院大学近く、二七通りを少し入った所に「九段 ゑん重」がある。中央線の市ヶ谷駅からだと10分弱だろうか。店の看板は道路に出ているのだが、入り口が奥まっているので一見は少々入りづらい。入店しようと自動ドアの前に立つと張り紙がされ「手動」と書いてある。重たい戸を手で開け入店。

ちゃんこ屋?蕎麦屋?

静かな店内は見たところ10席ほど。1Fはこじんまりとしているが地下にも席があるようだ。独特な内装はかなりこだわりを感じる作り。なかなか蕎麦屋らしくていいが、どことなくちゃんこやのような雰囲気がある。通された4人掛けの席に座りメニューを見ると「カレー丼(900円)」を発見。店員を呼び注文した。

カレー丼を待っている間に店内を見ると、相撲の番付表の様な日めくりカレンダーがいくつも壁についている。これは初めて見る!相撲好きの私としては江戸文字を見るだけで楽しい気分になる。

熱々カレー丼の悲劇

4分程でカレー丼が出て来た。黒いお盆の上には丼器に入ったカレー丼、たくあんと、大根、からし菜の漬物、わかめと三つ葉の味噌汁。カレー丼のルーはくすんだ茶色で餡かけの様な透明感が少しある。まずはルーを一口。熱い!!あまりの熱さに驚いた!

味は出汁のきいた「ザ・カレー丼」といった味わい。辛さは甘口寄りの中辛。具は柔らかく旨味がある豚肉と、玉ねぎが入っている。豚肉は噛むたびにじわっと旨味が広がり美味しいが、量が少ないので寂しい。肉は多い方が美味しいに決まっている!もっと欲しい!ほぼ毎回と言っていいほどカレー丼には豚肉が使われているが、豚肉程カレーに合う肉はないと確信している。旨味と柔らかさが、鶏肉と牛肉の比にならない。独特の風味がスパイスの香りと混ざり、旨味の相乗効果を生んでいる。初めてカレーに豚肉を入れた人を賞賛したい。箸休めの漬物を食べるとからし菜の辛さが突き抜ける。ルーよりからし菜の方が辛い。

辛い葉っぱ

ちなみにからし菜に種類があることはご存じだろうか?中華料理で出てくることが多い高菜、ザーサイ、は実はからし菜。ベビーリーフに入っているレッドリーフマスタードやギザギザの形が特徴的なマスタードグリーンもからし菜なのだ。塩漬けなどの漬物には肉厚な高菜が使われる事が多い。高菜にはカレー丼より白米が合うなと思いながら味噌汁を飲んだ。薄味の味噌汁は濃い目の味付けのカレー丼に合う。ホッとする味わいが口の中に広がる。このメリハリが和食には大切。濃い味つけと薄い味付けのコントラスト実に和食らしい。
今日もカレー丼をぺろりと完食!
ご馳走様でした。

 

店名:九段 ゑん重 (えんじゅう)
住所:東京都千代田区九段南4-2-16 嶋崎ビル
営業時間:11:00~15:00、17:00~22:00(L.O.21:30)
定休日:日曜、祝日
アクセス:JR中央線「市ヶ谷」駅徒歩7分