松月庵|東京都文京区(最寄り駅 JR山手線「駒込」駅)

今日は六義園でお馴染みの駒込に来ている。六義園は徳川綱吉の側近である柳沢吉保が作った大名庭園。明治初期には三菱の岩崎弥太郎が購入し所有者が変わっている。旧岩崎邸も広い庭が特徴的だが、清澄庭園も所有しているので随分と庭好きみたいだ。
今では入園料があるが、私が子供のころは無料だったので父がよく連れて行ってくれた。鴨がいたり、鯉がいたりと都心で見ることの出来ない動物がいて楽しかった。特に渡月橋が好きで父に頼んで写真をよく撮ってもらっていた。
時間を見ると、13時半。だいぶ空腹になって来た。六義園近くで「カレーライス」を食べるか。

確か蕎麦屋があったはず。不忍通りを越えると「松月庵」が見えた。そうそうここだ!この古めかしい木製の看板は実に味があっていい。入り口には暖簾がかけられていて、待ってましたと言わんばかりの佇まい。

醤油味のカレー丼

いざ入店。店内は今時珍しく小上がりの座敷がある。入り口だけでなく、店内まで年季を感じる。このスタイルが蕎麦屋らしくて実にいい。運よく空いていたので4人掛けのテーブル席に座った。テーブルのメニューを確認すると「カレー丼(800円)」があった!店員を呼び「カレー丼」を注文する。

3分ほどしてカレー丼が出て来た。醤油を煮詰めたような濃い茶色のルーがたっぷりと掛かっている。

一見、ハヤシライスにも見える。珍しくスプーンでなくレンゲがついている。これは初めてだ。ルーをすくうと玉ねぎと厚みのある豚肉が出てきた。一口食べてみると、カレーらしいスパイスの辛さや香りはしない。ある意味蕎麦屋のカレーらしく醤油餡かけのような味がする。結構しょっぱい。江戸っ子ってこういう味を好んでいたのかな。想像していたカレー丼と随分離れた味でなんだか釈然としない。シャキシャキ食感の玉ねぎはいい仕事をしているが。

付け合わせの存在とは

付け合わせの満月のような形をした、たくあんとさくら漬けを食べ、ルーより漬物の方がライスに合っていると思ってしまった。酸味のある桜漬けが醤油一色の口の中をリセットしてくれる。

漬物がなくなったタイミングでリセットスイッチを味噌汁に切り替える。ネギと油揚げがたっぷり入った赤味噌の味噌汁は見た目は100点!濃い味のカレー丼に反し、味噌汁は薄味。こういう定食は全体のバランスがとても重要になる。これでいいのだ。以前食べた立ち食いそばのカレーの時も福神漬けが活躍したが、今回も同じ現象が起きている。たまにはこういうこともあるが、店の個性だから良しとしよう。
ちなみに店の名前にある「松月」だが、「松月」は桜の種類なのだ。花は八重咲きで淡い桜色をしている。ソメイヨシノの発祥の地駒込だから桜にかけてこの名前にしたのだろうか。気になるところ。
ご馳走様でした。

 

店名:松月庵 
住所:東京都文京区本駒込2-28-30
営業時間:11:00~15:00/17:00~20:00
定休日:日曜日
アクセス:JR山手線「駒込」駅より徒歩8分