満ゑ多(まえだ)|東京都豊島区(最寄り駅 都電荒川線「向原」駅)

東京には、未だに残る昭和の風景。都電である。俗に言う路面電車。東京には、過去多数の路面電車、線路、駅があった。しかし、令和の今、残っているのは、都電荒川線(東京さくらトラム)だけなのである。東京都荒川区、北区、豊島区、新宿区と走る。

「三ノ輪橋」から「早稲田」までつなぐ全長約12km。因みにサンシャイン前の東池袋四丁目駅から町屋駅前まで約1時間くらいかかる。のんびりとした素敵な路面電車。そんな都電荒川線「向原」駅に、満ゑ多(まえだ)はある。もしかすると…「向原」駅からは、ちょっとわかりにくいかもしれないので注意が必要かもしれない。

こだわりの蕎麦屋

ある意味…最大の難関なのが、こだわりの蕎麦屋、高級蕎麦屋で、蕎麦には一切触れず、カレー丼を頼む空気。一瞬、凍りつきそうな感じなのだ。今回も、まさにそんな感じのこだわりの蕎麦屋でのカレー丼。

13時を少し回った時間に来店。店内にいる客は、一組だけ。しかも、オーダーをしようかな?という時にお会計に入って、カレー丼を頼む頃には、私だけの店内なのだ。この時期なので、店内に入るとまず、「手、指の消毒をお願いします」とアルコール消毒除菌を手にかけてくれる。最近は、こういう感じのお店が増えてきた。これが俗に言うWITHコロナというか?コロナウィルスとの向き合い方なのかもしれない。メニューには、そば粉…北海道産・白神山地産。うどんの小麦粉…群馬県産。そばつゆの醤油…ヒゲタ本膳。冷やしそばつゆのかつお節…枕崎産本枯本節備長炭直火焼。温かいそばつゆ…土佐宗田節、屋久島近海ごまさば本枯本節。色々なこだわり、そして美味しさの秘密が書いてある。こういうこだわりの蕎麦屋のカレー丼は、物凄く楽しみなのだが、如何せん…頼みにくいのである。

時間がかかる理由

木の香りがうっすらと漂う店内。そして、清潔感のある席。その奥に、調理場がある。「カレー丼」とオーダーをすると、奥の調理場で、調理が始まる。事前に作られたものを温めて出てくるカレー丼もあるのだが、満ゑ多(まえだ)のカレー丼は、ひとつひとつ作られているような感じが、席から見える調理場の様子でわかる。オーダーして、約10分強以上。出てきたのが、このカレー丼なのだ。

これぞ蕎麦屋のカレー

内容は、とろみのあるカレーに、大きめの玉ねぎとこれまた大きめの豚肉のカレー丼。胡瓜と大根の漬物。豆腐。そして、油揚げとワカメの味噌汁。これが満ゑ多(まえだ)のカレー丼なのである。これで850円(税込)。カレーは、たっぷりと蕎麦つゆの出汁が加わって、若干の甘みと酸味がある。粘りというかトロみが強く、これが大きめの玉ねぎ、豚肉に絡みつくのが、たまらない。辛さは、日本人がこよなく愛する中辛程度の辛さで、どんどん口に入っていく。

カレーの若干の水分が、米に吸い付く感じで、米も程よくねっとりとした感じになるのだ。漬物の胡瓜と大根は、塩加減が絶妙。カツ丼なんかに合うだろうなぁ~と思える。最後に、味噌汁と豆腐を食べ、あっという間に完食。蕎麦屋のカレー丼で、金属のスプーンと木のスプーンが出てくるところがあるが、断然、木のスプーンの方が、ねっとりとした蕎麦つゆを含んだカレーには合う。金属が邪魔をしないというのが正解なのかもしれない。

冷たい蕎麦茶

カレー丼をオーダーして、調理場で作られ、出てくるまでの時間より、完食までの時間のほうが短い。それだけ、満ゑ多(まえだ)のカレー丼は、美味い。そば粉のこだわり、小麦粉のこだわりと色々書いてあったが、次回、訪れても「カレー丼」を間違いなくオーダーしてしまいそうなのだ。熱々のカレー丼を食べ、最後に、麦茶?と思える色の冷たいお茶を飲む。これが、実は、キンキンに冷えた蕎麦茶なのである。カレー丼の余韻が勿体ないのだが、最後に清々しい冷たい蕎麦茶が、キレイに洗い流してくれる感じがとても良い昼下がりだった。ごちそうさまでした。

店名:満ゑ多
住所:東京都豊島区東池袋5-42-1ハイネスマエダ1F
営業時間:11時~14時45分、17時~20時
定休日:日曜日、祝日
アクセス:都電荒川線「向原」駅、徒歩5分